西ヨーロッパ最大のムスリム(イスラム教徒)を抱えるフランスでブルカ(準ずるスカーフも含む)の着用禁止法案が2010年7月13日可決した。
違反者は150ユーロの罰金、また女性にベールで顔を覆うことを強要した者は禁固1年と3万ユーロの罰金刑。
フランス政府によると現在この対象者は約2000人の女性と見られる。
半年の教育期間を経て2011年春から施行される見通し。
ソース:le monde [L’Assemblée nationale vote l’interdiction du port du voile intégral]
既にフランスでは何年も前から公立学校でのブルカ着用が禁じられており、着用すれば退学処分らしい。
政教分離(国家と宗教の分離)を憲法や法律によって定められているフランスでは、すべての宗教から中立であろうとするあまり、ここまでに至ってしまったのだろうか?
いろんな意味で風通し悪そうだし、女性蔑視的な感じもするし、没個性的(顔が見えないわけだからそれ以前の問題?)、フランス文化に合ってないのは確か。
サルコも「ブルカを強要する男性はフランスに相応しくない」と発言したらしい。
日本も同じ政教分離だけど、こんな話聞かないよね?知らないだけ?
ちなみにサウジアラビアやイランなどはコーラン(イスラム法の経典)が法源だったりする。
ちょっと前にパリ在住のイラン人漫画家マルジャン・サトラピ[wiki]の存在を知った。
彼女の作品”ペルセポリス”からは等身大のイラン女性が見えてくる・・・そこに出てくる女性の多くはスカーフをあまり好んでないんだよね。
“ペルセポリス”は彼女の半生を描いた2巻から成る自伝漫画(4巻あるフランス語版を日本語版では2巻にまとめている)
1巻はマルジが10歳の時から始まる。1979年にイスラーム革命があり、その後彼女を取り巻く環境が次々と変わっていく。例えばヴェールを強要されたり。戦争も起こり、親しい人達が亡くなり、更に自由がなくなくなっていき…
2巻では不安定な国の状況を心配した両親によって単身オーストリアのウィーンへ留学。
しかし、そこではドラッグやらパンクファッションやらで大変なことに…、大失恋の後一度イランに帰国するがヨーロッパのアイデンティティを持ってしまった彼女はまた祖国でも色々なギャップみ苦しむ。結婚も経験するが…
という感じ。
ヘビーなテーマながらすごく明るくってユーモアたっぷりのマルジを愛せずにはいられない!
家族も教養があり独自の哲学があり、すごく素敵な人達(イランでは特殊な人達なのだろうか?)
“ペルセポリス[wiki]”は12カ国語に翻訳され30カ国以上で出版されている。
アニメ映画化もされ、2007年のカンヌ国際映画祭ではコンペティション部門の審査員賞を受賞し、注目を集めている。
(しかも、吹き替えにカトリーヌ・ドヌーヴなどの豪華俳優陣も参加!)
イランと云えばモフセン・マフマルバフ監督のイメージが強かったので、今回はまったく違ったイラン、ムスリム女性を見た感じ。
モフセン・マフマルバフ:”カンダハール”や”サイクリスト”、”パンと植木鉢”などはTSUTAYAでレンタルできると思われ。個人的にはウン十年前に観た「行商人:The Peddler」が強烈だったー。悲しいかな単館上映でしかお目にかかれませんが…。
かなり脱線しましたが…
ブルカがムスリム女性にとってライナスのブランケットと同じなら、この法律は酷かもしれない…
でも、もしマルジの様な感覚だったとしたら、ポジティブに機能して欲しいですね。
単純な話ではないだろうけど、美人さんが多いですし隠すのは勿体ない気がします。